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東京地方裁判所 昭和53年(特わ)2166号 判決

被告人

(一)本店所在地

東京都江東区新砂三丁目一番六号

東京佐川急便株式会社

(右代表者代表取締役

渡邊廣康

(二)本籍

東京都文京区大塚三丁目二七番地

住居

同都板橋区蓮根二丁目三一番五号

職業

会社役員

渡邊廣康

昭和九年五月二日生

右両名に対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は検察官乙部二郎出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社東京佐川急便株式会社を罰金三、二〇〇万円に、被告人渡邊廣康を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人渡邊廣康に対し、この裁判確定の日から三年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社東京佐川急便株式会社(昭和五二年一二月一四日以前の商号は渡辺運輸株式会社)は、東京都江東区新砂三丁目一番六号(昭和五二年一二月一四日以前は同都板橋区蓮根二丁目一八番三号)に本店を置き、貨物自動車運送事業を目的とする資本金一、一〇〇万円(昭和五一年八月二七日以前は二八〇万円)の株式会社であり、被告人渡邊廣康は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人渡邊廣康は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、貨物運賃収入の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二〇二、〇四六、八〇三円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五一年二月二八日、同都板橋区大山東町三五番一号所在の所轄板橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三七、五七八、八四〇円でこれに対する法人税額が一四、一四二、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額七九、九二八、二〇〇円(税額の算定は別紙(三)税額計算書参照)と右申告税額との差額六五、七八五、五〇〇円を免れ

第二  昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三六二、七五四、一四〇円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五二年二月二八日、前記板橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一五四、四九九、八三二円でこれに対する法人税額が六〇、五三六、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一四三、八三七、二〇〇円(税額の算定は別紙(三)税額計算書参照)と右申告税額との差額八三、三〇〇、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)(甲番号は検察官請求証拠番号を示す)

判示冒頭の事実及び全般にわたり

一、被告人の当公判廷における供述

一、同じく検察官に対する各供述調書(四通)

一、東京法務局登記官作成の閉鎖登記簿謄本(甲1)

一、同じく登記簿謄本(甲2)

一、早乙女潤の検察官に対する各供述調書(甲19、20)

一、出川雅夫の検察官に対する供述調書(甲21)

判示第一、第二の各事実添付の別紙(一)、(二)の修正損益計算書に掲げる各勘定科目別当期増減金額欄記裁の数額につき

<貨物運賃収入につき>

一、収税官吏千田正美作成の貨物運賃収入除外額調査書(甲3)

一、検察官乙部二郎作成の昭和五三年九月八日付捜査報告書(甲4)

一、早乙女潤の検察官に対する各供述調書(甲19、20)

一、出川雅夫の検察官に対する供述調書(甲21)

<法定福利費(昭和五一年一二月期のみ)・福利厚生費につき>

一、検察官乙部二郎作成の捜査報告書(甲4)

一、収税官吏千田正美作成の運送原価調書(甲5)

一、同じく一般管理費調書(甲6)

一、出川雅夫作成の申述書(甲7)

一、収税管吏の早乙女潤に対する昭和五二年一一月一日付質問てん末書(甲8)

<燃油費・修繕費・車両諸経費・消耗品費・衛生費・事故費につき>

一、検察官乙部二郎作成の捜査報告書(甲4)

一、収税官吏千田正美作成の運送原価調査書(甲5)

一、同じく一般管理費調査書(甲6)

一、出川雅夫作成の申述書(甲7)

<外注運賃につき>

一、収税官吏千田正美作成の外注運賃調査書(甲9)

一、出川雅夫作成の申述書(甲7)

<租税公課につき>

一、検察官乙部二郎作成の捜査報告書(甲4)

一、収税官吏千田正美作成の一般管理費調査書(甲6)

一、検察事務官一色潔作成の捜査報告書(甲10)

<広告宣伝費(昭和五一年一二月期のみ)につき>

一、収税官吏千田正美作成の一般管理費調査書(甲6)

一、早乙女潤作成の申述書(甲11)

<受取利息につき>

一、収税官吏千田正美作成の預金増減残高及び受取利息調査書(甲12)

<雑収入につき>

一、収税官吏千田正美作成の雑収入調査書(甲13)

<交際費の損金不算入額につき>

一、検察事務官一色潔作成の捜査報告書(甲14)

<貸倒引当金繰入超過額(昭和五一年一二月期のみ)につき>

一、収税官吏千田正美作成の貸倒引当金の損金算入額の計算書(甲15)

<欠損金の当期控除額(昭和五〇年一二月期のみ)につき>

一、収税官吏千田正美作成の調査事績報告書(甲16)

<寄付金(昭和五〇年一二月期のみ)につき>

一、収税官吏千田正美作成の寄付金調査書(甲17)

<寄付金の損金不算入額(昭和五〇年一二月期のみ)につき>

一、検察事務官一色潔作成の寄付金の損金不算入額に関する捜査報告書(甲18)

別紙(一)、(二)修正損益計算書に掲げた各公表金額及び各過少申告の事実について

一、押収してある被告会社の昭和五〇年一二月期及び昭和五一年一二月期各法人税確定申告書(昭和五三年押第一六九四号符一、二)

(法令の適用)

被告会社につき

いずれも法人税法一五九条、一六四条一項。刑法四五条前段、四八条二項。

被告人につき

いずれも法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)。同法二五条一項。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 松澤智)

別紙(一) 修正損益計算書

東京佐川急便株式会社

自 昭和50年1月1日

至 昭和50年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

別紙(二) 修正損益計算書

東京佐川急便株式会社

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

別紙(三) ほ脱税額計算書

法人税法違反

佐川急便株式会社

渡邊廣康

(50.1.1~50.12.31事業年度)

〈省略〉

(51.1.1~51.12.31事業年度)

〈省略〉

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